世界一の自動車博物館!?誰でも楽しめるロサンゼルスのテーマパーク

Photography:David Zaitz


 
そして編集部は、わずか14カ月の改修期間を経て、グランドオープニングを迎えた博物館を訪れた。新しいロビーはウィルシャー・ブルバードに面しており、無料で売店に立ち寄ったり、ガラス越しに1階の展示を覗いたりすることができる。
 
入場料を払うとエレベーターで3階「歴史フロア」へと誘導される。単純な自動車の歴史ではなく、コンセプトカー、技術、化、映画、モーターサイクル、カスタマイズカー、そして地域の歴史などをかいつまんで紹介している。
 
2階は、まったく違う次元の展示となっていた。工業フロアなので、車のデザイン、テスト、製造などについて紹介されているのはもちろんのこと、デザイン面に関しては、ここ数十年間で最も成功しているカーデザイナーたちを輩出している、ロサンゼルスの著名なアート・センター・カレッジ・オブ・デザインのサテライトキャンパスになっているのも特筆すべき点だ。学生たちは、このミュージアムスタジオで実際にプロジェクトを進め、来館者は自由にその様子を見る事ができる。
 
フロアを進むとBMWミニとマセラティの製造技術の紹介があり、その対面には博物館所有のGT40 Mk.IIIとフォード所有の2017年GTが展示されている。ここピーターセン博物館のみが、2016年を通してフォードの最新GTを展示する確約が成されている。
 
子供向けにも、これまでで最も高い水準の展示を仕掛けてきた。ピクサー・アニメーション・スタジオと組み、映画『カーズ』をテーマとした展示で、子供たちがタブレットで自分のレースカーをデザインすることができる。ここは『カーズ』のキャラクターたちがステップ・バイ・ステップに指導してくれる。たとえば"メーター"がガイド、"フロー"が初期デザイン、"ルイジ"が製作工程、"フィルモア"が燃料、"ラモーン"が塗装、"サリー・カレラ"が最適化、そして"ライトニング・マックィーン"がデザインされた車のレース出場を承認するといったわけだ。この一連の流れで、エンジン、トランスミッション、タイヤ、カラーリング、そしてレースのレインまで選ぶことができる。各工程は、2階中に設置されたステーションで行う。3歳児から高齢者まで、魅了されずに耐えるのは難しいだろう。
 


これに関連してあるのが"ライトニング・マックィーン"の働きを解説するピクサー・メカニカル・インスティテュートだ。実際には、2007年の NASCARを用いて、タッチスクリーンで指示やアニメーションで解説をしている。
 
角を回ると、フォルツァ・モータースポーツ・レーシング体験のコーナーがあり、フォードGTでバーチャルレースを体験できるシミュレーターが10台も並ぶ。ミュージアムからル・マンのコースをGTでバーチャルレースもできる。
 
リアルな"スチールプロダクト"に話を戻すと、次はモーターサイクルで、マン島TTレースにインスパイアされたしなやかな台座の上に展示されている。その先のガラス戸を開けて進むと屋上に出る。イベントや集まりがここで開かれる。その横にはモータースポーツ・ギャラリーがあり、象徴的なレーシングカー(現在はポルシェ917、935、936、956)が展示されている。正面には幅50mもある180度スクリーンがあり、モータースポーツに関する心を揺さぶるようなコンピレーション映像が流れていた。視聴者の数人は涙を浮かべ見入っていた。
 
そして、ブルース・マイヤーが提供するスペシャル・エキシビット・ギャラリーがある。彼はロバートとマージーに継いで、博物館のために色々と尽くしてきただろう。ここにあるのは銀色に限定したプレシャス・メタル・コレクションで、非常に目を引く展示となっていた。
 
1階はアーティストリ(芸術)・フロアで、ピーター・マリンなどのアールデコの車が展示されており、その奥の部屋には3台のBMWアートカーが並んでいる。そして改修当時、センターを飾っていたのはブガッティT57SCクーペアトランティークで、一番目を引いていた。数カ月毎に車は入れ替わる。
 
ピーター・マリンは控えめながら「世界でトップ10の自動車博物館に入ると思うが、個人的には上位5位から3位には入ってほしいと思っています。メルセデス・ベンツ、ポルシェ、そしてフェラーリの博物館とは間違いなく同じレベルで、しかも奥が深い。したがって、私たちは1位かもしれないのです」と語った。



現在は2020年5月まで、ハリウッド映画に登場した特別な車やバイクをフューチャーした企画展が開催されている。


編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:数賀山 まり Translation: Mari SUGAYAMA Words: David Lillywhite 

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