「ポルシェが欲しい!けれど人とかぶりたくない!」そこで選ぶべき1台とは?

Photography:Andy Morgan

もしもずっとポルシェに憧れていて、しかも他人と同じことをしたくないのであれば、この914こそあなたが選ぶべき車かもしれない。914は左ハンドルモデルしか作られなかったために(わずかなクレイフォード製コンバージョンを除けば)、英国では、ほとんどの人が候補リストから外している。比較的手が届きやすいスポーツカーと見なされていたが、実は当時でも高価だったせいでもともと台数は少なかった。新車当時の1969年の値段はMGBより1000ポンドも高かったのである。
 
914は珍しい市販ミドシップ・ポルシェであり、そのおかげで優れたハンドリングを備えている。2リッターモデルはまだしも1.7リッターはまったく速くはないが、それよりも914の特徴は信頼性である。おそらく決め手は、あなたが乗っている914がどういうものかを誰も知らないということだろう。
 
1960年代半ば、ポルシェとVWはそれぞれ対照的な問題を抱えていた。前者はスポーツカーメーカーとはいえもう少し台数を増やしたかったし、後者はラインナップの中に華やかなイメージを加える必要があったから両者の結婚は申し分のない解決策と考えられた。その結果、1969年のフランクフルトショーにカルマンが製作した2モデルが出品されたのである。
 
現代の911と比べると、914を速く走らせるのは簡単だ。ポルシェを象徴するRRのモンスターは高速コーナーの出口で容易に後ろを向くこともあるが、914、特に1.7リッターは必要とされるよりもはるかに高いグリップを持っている。その空冷4気筒エンジンのパワーは80bhpに過ぎず、最高速は170km/hほどとされている。もちろん1.8と2リッターモデルはもっと活発に走るし、四輪ディスクブレーキのおかげでその性能を十分に引き出すことができる。914の車重は1トンを切るほど軽く、想像より速いだけでなく非常に機敏だ。玉に疵はギアチェンジである。914は911と同じギアボックスを使っているが、小さな車ゆえに曲がりくねったリンケージのせいでシフトフィールはあいまいだ。

編集翻訳:高平 高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Delwyn Mallett

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