ポルシェ911が持つさらなる可能性│1960年後半代からの進化

Photographs: John Colley, Porsche archives, Paul Harmer, Rex Features

1960年代後半になると、特に米国でポルシェ911のセールスが急増した。ポルシェは911がさらなる可能性を持つことに気づき、より大きなエンジンと多様なモデルの導入を決める。1970年に排気量は2195ccに拡大され、それぞれチューンが異なるTとE、そしてSモデルがラインナップ、さらにセミオートマチックのスポルトマチックとタルガトップ仕様も追加された。これらの911は依然として軽量でスリムなスポーツカーであり、中でも2.2Sは180bhpを生み出す高回転型エンジンで人気が高かった。
 
1972年にエンジンは2341ccに拡大され、燃料噴射も全モデルに採用された。73年の2.4Sは190bhpを発生、0-60mph加速は6.6秒、最高速は145mphに達した。それよりわずかにおとなしい2.4Eはロードカーとして一番使いやすいモデルだろう。
 
この時代で特筆すべきは、最も偉大な911と称される1973年2.7カレラRSである。1580台だけ作られたこの傑作911はツーリング、スポーツ、レースという3種のトリムが設定されていた。ダックテールスポイラーとエアダム、派手なカレラのロゴを備え、2.7リッターまで拡大されたエンジンは豊かなトルクだけでなく7300rpmのリミットまで軽々と回って210bhpを生み出す。しかもライトウェイト仕様では940kgにすぎないRSは240km/hの最高速を誇った。機械式燃料噴射を備えたRSは、現代の交通環境でもまったく問題なく使える。
 
しかし2.7RSは今や英国で17万5000ポンド以上(ライトウェイトはさらに高い)という驚異的な値札がついており、それに比べれば7万ポンド程度から手に入る2.4Sはお買い得に見える。日常的に乗るなら2.4Eで十分すぎるほど、2.4Eの0-60mphが6.8秒、最高速230km/hというパフォーマンスは決して見劣りするものではない。

編集翻訳:高平高輝 Transcreation: Koki TAKAHIRA Words: Robert Coucher

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