氷の上でポルシェ911の限界を試す!│他では味わえない究極のドライビング体験

Photography: Malcolm Griffiths

ナメたら痛い目を見る、それが911だ。その911を使い、氷の上で限界を試せる場所が北欧にある。そこは、究極のドライビング体験ができるワンダーランドだった。

冬の足音が聞こえ始めると、北半球のヒストリックレースシーズンは幕を下ろす。車はガレージやワークショップに姿を消すが、使い込んだドライビングシューズは仕舞い込まないほうがいい。ほかでは味わえない最高にエキサイティングなドライビングを体験できる舞台がまた帰ってくるのだ。それが、スウェーデンでの氷上ドライビングである。

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現代のロードカーを氷上で走らせるドライビングスクールならいくつかある。だが、本格的なレース仕様のクラシック911でそれができるとしたら?

そんな夢のようなスリルを提供してくれるのが、プロとしてラリー界で活躍するリチャード・タティルのビロウ・ゼロ・アイスドライビングだ。リチャードは、2003年にイーストアフリカン・サファリ・ラリーで911を駆って3位フィニッシュを果たした腕の持ち主だ。父親のフランシス・タティルは、レースやラリー用装備のスペシャリストとして伝説的な地位を築いているタティル・ポルシェ社を興した人物である。 

「ウチの911は、本格仕様だし軽量で260
bhpだから、氷上ドライビングには最適だ。一瞬も気を抜けないけれどね。でも、911で血が沸き立つような本物のドリフトをするなんて、スウェーデンに来ない限り絶対に体験できないことだ」と言ってリチャードは笑う。 

リチャードのチームが拠点を構えるのは、ス
ウェーデンの北部に位置する一大スキーリゾート、オーレの郊外だ。息を飲むような絶景が広がる場所で、そこに凍った湖もある。降り積もった雪にすっぽりと覆われ、街は一見静まりかえっていた。到着したときにはもう日が暮れていたので、宿泊するカール・オート・ロッジに直行。ラリードライバーのコリン・マクレーとステファン・パルマンダーが2005年に開業したモダンなホテルである。近くにはほかにもホテルが多く、いいレストランや夜遊びを楽しめる場所もある。もちろん、ジェームズ・ハント並みのスタミナがあれば、の話だが。



翌朝私たちが湖に行くと、ビロウ・ゼロのメンバーと6台ほどのクラシック911が待っていた。1970 年代終わりから1980 年代初めの911SCで、3.0リッターエンジンは出力260bhp、クロスレシオのギアボックスとリミテッドスリップデフを備える。車内はレース仕様に軽量化され、レース用シートとハーネス、ロールケージも装備。必要にして十分な本格派クラシック911だが、まず目を引くのは、車高が高めで、スパイクタイヤを履いていることだろう。

まさに、手ぶらで来てすぐに走り出せる体制である。準備万端の車がずらりと並び、ドライビングインストラクターとメカニックも揃っている。つまりは、首と腕の筋肉がもつ限り、ひたすら走り続けようというわけだ。

編集翻訳:堀江 史朗 Transcreation: Shiro HORIE  原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words: Robert Coucher

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