手作業で造り上げられたサラブレッドを「復刻」│待ち受ける困難

Photography:Paul Skilleter and Jaguar Heritage



「"本物"でなければなりませんが、現代の基準に引き上げる必
要もありました」とケヴは力を込めて話し、最も頭を悩ませたパーツとして、ウィンドスクリーンの窓枠を挙げた。

「オリジナルの窓枠は鋳造アロイにクロームめっきでしたが、
私たちが見た限り、仕上がりは決してよいものではありませんでした。プロダクションモデルでは、アロイを磨いてラッカー仕上げにするかもしれません。バンパーも鋳造アロイにめっきを施していましたが、鋳造には多孔質なところがあってクロームの仕上がりが完璧ではありませんでした。私たちも新しいバンパーを鋳造で造りましたが、アルミビレットからの削り出しも、タイタン・モータースポーツ社で試しています。そのほうが見た目はよくなるはずです。私たちはボンネットの内側をペイントしましたが、オリジナルではやっていません。それから、このコクピット後方を留めているネジは、今は下にファイバーワッシャーを敷いています。オリジナルではやらなかったでしょう。でも、こうしないと、いずれペイントがひび割れてしまうのです。ワッシャーはこのまま残すはずだったかな」



ここでワークショップが賑やかになった。配線網の取り付けが終わり、初めての通電テストが始まったのだ。バッテリーを接続し、ひとつひとつチェックする。ライト、方向指示器、警笛、イグニッションなどすべて問題なし。だが、レブカウンターが一瞬レッドラインまで跳ね上がったので、チームは満足しなかった。「セルフキャリブレーション機能の問題だ」とエンジニアのデビッド・マーシャルが眉をしかめる。ケヴは「そのままにはしておけない。本物に見えないぞ」と言って、ダッシュボードの下にもぐり込んだ。

チームが仕事に専念できるよう、私たちはここでワークショップを後にした。翌日連絡を取って確かめると、カー・ゼロは無事にロサンゼルスに向かっていた。

ジャガー・クラシックは次に何をやってくれるのだろうか。「何かストーリーのあるもの。そうでなければただのレプリカになってしまうから」という言葉だけはお伝えしておこう。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO( Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Paul Skilleter Archive

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