小さな体に大きな魅力を詰め込んだミニバイク│ホンダ・モンキー

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渋滞ばかりの現代社会に嫌気がさしているなら、遊び心にあふれたホンダのモンキーはいかがだろうか。このミニバイクのオリジナルモデルZ100が誕生したいきさつは、はっきりしていない。一説によれば、ホンダの工場で、若手技術者のグループに与えられた課題がきっかけだったという。

Z100が人々の前に姿を現したのは1961年のことだ。東京都日野市にオープンしたばかりの乗り物をテーマにした遊園地、多摩テックの遊具となって、来場者を楽しませたのである。大人が乗った姿がどことなくサルを思わせることから「モンキー」の名がついたといわれている。

輸出用の初代モデルCZ100は1967年まで製造された。スーパーカブと同じ、頑丈な4ストローク50ccエンジンとオートクラッチ式3 段ギアボックスを小型のリジッドフレームに搭載。分厚いシート、折りたたみ可能なハイライズのハンドルバー、5インチのバルーンタイヤを装備し、燃料タンクは白、フレームは赤というカラーリングだった。

続いて登場したのがZ50Mだ。装備を充実させた量産モデルで、オーストラリア、ヨーロッパ、カナダで発売。リアブレーキや警笛、バックミラー、改良型のライトなどを装備して実用性を向上させ、公道でも使えるバイクになった。

続いて日本国内向けモデルもデビュー。販売される国によって、ヘッドライトの大小や、エグゾーストがアップタイプかダウンタイプか、泥よけがクロームメッキかペイントかなど、デザインに微妙な違いがあった。

どの国へ行っても、モンキーは"レジャーバイク"として大人気を博した。特に好評だったのが、ハンドルを折りたたんでシートを下げれば、一般的な車のトランクに簡単に積み込める点だ。レジャーのお供にもなれば、レースに持っていってパドックで使うこともできた。また、ヨット愛好家の間では、二輪のフィアット・ジョリーとして親しまれた。

しかもモンキーには、船に乗せておけば到着した先でラナバウトとして使えるという、ジョリーには真似のできない利便性があった。

モンキーがアメリカで初めて発売されたのは1968年のことだ。それが"ミニ・トレイル"ことZ50Aで、ひと回り大きな8インチのブロックタイヤになり、フロントサスペンションを装備し、ヘッドライトはなかった。

次に登場したのが最終形のZ50Jで、ヨーロッパと日本向けに1999年まで製造された。生産が中断した時期もあったが、2009年に燃料噴射式になって再登場。しかし、現代の排気ガス規制や安全基準を満たす難しさから、2017年8月で生産を終了した。昨年には、日本発売50周年を記念して、初代と同じ赤と白の限定モデルも登場。また、最後の500台は日本国内限定でオーダーを受け付け、購入者は抽選で選ばれた。その申し込みは4万5000件に上ったという。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO( Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA

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