「ブルーバード」のオマージュを作り上げた男|ネイピア航空機エンジンを搭載車のレストア・ストーリー

1927年ネイピア・ブルーバード・オマージュ(Photography:Tim Andrew)



BLUE BIRDか、BLUEBIRDなのか?

どうでもいいように見えて、じつは奥深い問題である。マルコム・キャンベルはどちらの表記も使ったことがある。彼の初期のレーシングカーはバラエティに富んだ名前だったが、1912年に幸せの象徴としてBlue Birdを使った。そのあとのレースカーの名はすべて、ロンドンのヘイマーケット近くにあるシアター・ロイヤルで上演される大人気戯曲のタイトルにあやかっている。1908年にベルギーの詩人であり劇作家であるモーリス・メーテルリンクによって書かれた戯曲のフランス語タイトルはL’ Oiseau Bleu。言い伝えによると、この戯曲を鑑賞したあと、キャンベルは深夜にもかかわらず町の金物屋を叩き起こし、ブルーのペンキを在庫の分まですべて買い上げ、夜通し作業で車をブルーに塗ったという。翌日ブルックランズを走ったときはまだ半乾きだったそうだ。それまで彼は水上の速度記録に挑戦の矛先を変える決心をしていたが、"Blue"と"Bird"がいっしょになって彼の気持ちを動かし、Bluebirdを誕生させた。その名称はキャンベルの息子ドナルドの時代になっても変わることなく続いた。

編集翻訳:尾澤英彦 Transcreation:Hidehiko OZAWA Words:Delwyn Mallett Photography:Tim Andrew

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