2019年に史上最高落札値を更新した幻のマスタング

octane UK

2019年最初の大記録が飛び出したのは、1月3~13日にアメリカのキシミーで開催された11日間にもおよぶミカムの大オークションだ。世界でたった1台の1967年フォード・マスタングGT500スーパースネークが、マスタングのオークション史上最高値を更新し、推定額の2倍に上る220万ドル(約2億4000万円)で落札された。スーパースネークが記録を塗りかえるのは実は2度目だ。これまでの最高値は、まったく同じ車が2013年に出した130万ドルだった。

スーパースネークは、"最速のマスタング"と
してキャロル・シェルビーが造った車で、グッドイヤーの新しいタイヤ"サンダーボルト"の宣伝に使用された。1966年のル・マンで優勝したGT40と同じ、パワフルな424cu-inのフォードV8エンジンを搭載。サンダーボルトを履いて平均速度142mph(228.5km/h)で500マイル(805km)を走破した。あまりに高価なため量産はされず、この1台しか造られなかった。その車がフルレストアを受けて出品されたのである。

ミカムのオークションには3500台以上が登場し、その多くが複数の大規模な個人コレクションからの出品だった。オートモビリアも3000点以上が落札された。数多くの重要なアメリカ車の中でハイライトとなったのが、2台の1969年コルベット(L88型)だ。ブラックのクーペとロードスターのペアが99万ドルの値を付けた。一方、現存わずか2台の1965年フォードGT40ロードスターのプロトタイプは、1000万ドルを超えると期待されていたが、最低落札価格に届かず流札となった。

イギリスで新年の口火を切ったのはシルバー
ストン・オークションズだ。規模ではミカムに及ばないものの、バーミンガムで開催されたオートスポーツ・インターナショナルショーでのオークションは、落札率63%で総売上は260万ポンドに上った。最高値は、右ハンドルの1970年フェラーリ365GT 2+2の20万250ポンド。また、製造わずか21 台の1990 年AC コブラMk.Ⅳライトウエイトにも、13万9500ポンドの高値が付いた。

レーシングカーが主役のイベントだけに、強
力なラインアップが揃っていた。なかでも重要性で群を抜いていたのが、ワークスの1966年ロータス・コルティナだ。ジム・クラーク、ジャッキー・イクス、グレアム・ヒルらによる輝かしいレースヒストリーに入札も過熱し、落札額は驚きの16万8750ポンドに達した。

これまでのところ2019年のクラシックカー
とコレクタブルカーの市場は、少々慎重さは増しているものの、2018年第4四半期と同様の健全な状況にある。ただし、イギリスのEU離脱のデッドラインが迫るため、今後数カ月はイギリスとEUの市場から目が離せない。これからもクラシックカーへの情熱が市場を支えていくことを祈ろう。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA

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