忘れ去られたフェラーリ?フェラーリの転機を象徴する348 tbセリエスペチアーレ

octane UK

348 セリエスペチアーレについては聞いたことがないという人も多いのではないだろうか。フェラーリの転機ともいえる興味深い時期を象徴する限定バージョンにもかかわらず、すっかり忘れ去られているようだ。アメリカ向けに100 台のみ製造され(クーペの" tb "が35 台、タルガトップの"ts"が65台)、348 が無数に抱えていた小さな欠点の多くを修正したモデルだった。

社長に就任したルカ・ディ・モンテゼモーロは、
フェラーリのロードカービジネスを復活させるという大事業に着手した。その結果、実用性と信頼性に乏しく、採算性も悪いというかつてのフェラーリは過去のものとなろうとしていた。真の変化を体現したのはF 355 だが、古い慣行が変化しつつあることはセリエスペチアーレにも現れていた。

1989年に登場した348は、先代の328 か
ら大きな進歩を遂げていた。フェラーリとして初めてフルモノコックを採用し、フィオラバンティによるボディワークも素晴らしかった。その一方で、パッケージとしては不十分な点も多く、製造品質や信頼性に不満を訴える顧客も多かった。ちょうどホンダNSX が登場し、優れた性能と信頼性の両立が可能なことを証明していたからだ。



セリエスペチアーレでは、排気システムとボッ
シュ製ECU の改良で出力が300から312bhpに向上した。しかしもっと重要なのは、ファイナルギア比を上げたことで加速が大幅に向上した点だ。サスペンションのセットアップも見直され、リアのトレッドが50mm 広がった。また、スターターモーターを日本製に変更し、空調のコンポーネントを改良して、最も頻発した二つのトラブルを解決した。

外観にも手が加えられた。顕著なのはリアの
ルーバーが取り外されてテールライトが剥き出しになったことだ。フロントでは空力を向上させるためバンパーを変更した。また、バンパーとサイドスカート、エンジンカバーは黒だったが、ボディと同色になった。



写真の車は社外品のホイールを履いており、
レース用のフェラーリ・チャレンジ仕様を思わせる佇まいだ。公道用、レース用を問わず、現代のタイヤを使用できるのが利点である。オリジナルの5 本スポークのホイールとサイドストレークも付属するので、標準仕様に戻すことも可能だ。

セリエスペチアーレの44 台目で、走行距離
は2万2000 マイルどまり。その一方で、直近のオーナーが過去5 年間ひんぱんに使用していたため、メカニカルコンディションは万全だ。シートは人気のケブラー製で、塗色はオリジナル、走りも申し分ないという。

落札価格:9万9500ドル アメリカ、カリフォルニア州、ファンタシー・ジャンクション

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA

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