ボンドのアストンマーティンを追い回す悪役に選ばれた車とは?

Photography:Lyndon McNeil and Sony/EON





黒ずくめのSVRには苛酷な仕事が待ち受け、用意された7台すべてが破壊された。あの厳ついディフェンダーと並んだら、どんな車でも弱々しく見えてしまいそうなものだ。だが、『007 スペクター』のレンジローバー・スポーツSVRは違う。ホイールからLEDのライトバーに至るまで黒一色で、少しも負けていない。7台のSVRは苛酷な仕事をやりきった。ディフェンダーに正面から激突し、衝撃でSVRの乗員がフロントガラスを突き破るシーンもあるが、このクラッシュシーンは4回撮影され、そのたびに新しいフロントノーズが必要となった。最後のテイクでは、ステアリングを握ったベン・コリンズ(BBC『トップギア』の元"スティグ")が少々力を入れすぎたため、冷却ファンがラジエターにめり込んでしまった。4台のうち1台は今も撮影時の状態で保存されており、フロントガラスがボンネットの上に横たわったままだ。



7台のSVRはすべて撮影中に深刻なダメージを負ったため、写真の車はレプリカである。本物には目立たないようにロールケージが取り付けられていたが、それも付いていない。SVRにとって最大の問題は、電子制御システムが車と完全に一体化していることだった。安全に振り回せるように、新しいプログラムを組み、電気系統をカスタマイズする必要があった。これには、ランドローバー・スペシャル・ヴィークル・オペレーションズ(SVO)の技術者も、クラッシュによるダメージ以上に頭を悩ませたという。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:David Lillywhite 

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