ボンドのアストンマーティンを追い回す悪役に選ばれた車とは?

Photography:Lyndon McNeil and Sony/EON





スマートな"ヒーローカー"2台と、激務に耐えた5台のスタントカー。こちらは、特製のスペースフレームにスーパーチャージドV8エンジンを搭載している。C-X75に対する要求は厳しいものだった。繰り返しジャンプし、高速で何度も石段を駆け下り、バチカン周辺の荒れた石畳で幾晩もドリフトすることを求められた。ジャガーとウィリアムズが2010年に5台だけ製造したプロトタイプのハイブリッド・スーパーカーにうってつけの仕事とはとてもいえない。

そこで、前述したように特別なC-X75を製造し、スタントカーとして使うことが決まった。時間的な余裕はなく、チームは2カ月でスペースフレーム車を設計。サスペンションをロングストロークにし、ジャンプしたあとの着地で衝撃を吸収できるように仕立てた。

本来、C-X75のパワートレインはハイブリッドだが、スタントカーはジャガーのスーパーチャジャー付きV8エンジンを搭載し、コンペティション用のパドルシフト付きギアボックスとクラッチと組み合わせた。自在にドリフトするだけのパワーとトルクも必要だが、高速でのバックもできなければならない。競技用のトランスミッションパーツでこれを成し遂げるのは至難の業で、またクラッチのエンゲージをスムーズにする必要もあった。4〜6 速のギアはほとんど使う機会がなかった。



スタントカーは撮影終了後にすべてリビルドされ、逐次改良も施されていった。塗装する時間がなかったために金属がむき出しだった部分も、今では滑らかに仕上げられ、カーペットまで敷かれている。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:David Lillywhite 

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