ヨーロッパ車の「ちょい悪」レストア!?|ランチア・アウレリアの「アウトロー」の全貌

1957年ランチアアウレリア B20 GTアウトロー(Photography:Paul Harmer)



美しいアウレリアのスタイリングにメスを入れる
ランチア・アウレリアのアウトローなどは過去に例がなかったが、このチョップトップのアイデアは、そもそもは1950年代にランチアの自社工場で造られた純正のチョップトップ・レーシングカーにインスパイアされたものだ。今回の製作にあたってはストックのB20GTを使い、新しいシートメタルを用いて、ソーンリーカラム社がほぼ全体を新規に造っている。

この提案に対するリアクションは様々だったが、アウトローの潜在顧客たるカーエンスージアスト達─ホットロッドと、それとは対極にある最高峰のクラシックカーの両方を楽しむことのできる人たちから反応があった。このアウレリアは、既存のアメリカ車をベースとしたアウトローとは明らかに趣を異にしているため、両極のギャップを埋めるものになるだろう。

これまで数多くのアウレリアをレストアし、最近では、おそらく間違いなく今回のアウトローの先祖と言えるモデル、かつてミッレミリア、ル・マン、カレラパナメリカーナ・メヒコなどを戦った、ジョバンニ・ブラッコの1951年チョップトップB20GTのレストレーションを成し遂げた経験(オクタン日本版11号に掲載)。そして、複数の会社が手掛けているポルシェ356のアウトロー、およびホットロッドモデルの人気を冷静に分析した結果、このアウレリア・アウトロー・プロジェクトにゴーサインが出された。

もしソーンリーカラム社が最高にクールで"不良な"B20GTを製作したなら、スマートで低く、ボディラインに微妙な変更が加えられたスペシャルであるにもかかわらず、これがギア時代のマリオ・ボアノの作だと錯覚する者もいるかもしれない。

オーナー像 その1
問題は、完成させても、そのような商品を望む顧客が存在するかだ。だが、有名なカリフォリニア在住のカーコレクターが声を上げた。サイモン・ソーンリーがこう説明する。「彼は来るなりこう言ったのです。『もし私がアウレリアのアウトローをやってくれと頼んだら、気を悪くするかね』と。彼はその時、車高を下げた1953年のシリーズ2の写真を持っていました。1953年といえば、メーカーではエアロダイナミクスについてまだ少々混乱していた時代ですが、私たちはブラッコ車のレストアによって得た経験と知識があったので、喜んで引き受けました。しかし、ランチアらしさを残すことだけは、はっきりと主張しておきました」

編集翻訳:小石原耕作 Transcreation:Kosaku KOISHIHARA Words:Paul Hardiman Photography:Paul Harmer

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