ランボルギーニ・エスパーダとカウンタックを所有する│憧れか悪夢か?

Photography:Mark Dixon

ランボルギーニ・エスパーダのオーナーであるハリー・メトカフは、実はエスパーダのほかに、同じエンジン(ミウラも同様だが)を搭載するカウンタックも所有し、毎日のようにドライブを楽しんでいる。これこそ本物のドリームカーライフか、それとも悪夢と呼ぶべきか?

私がこのカウンタックを購入したのは2010年の秋。それ以来8000マイルほど走り込んできた。だが今まで速度計が壊れること2回。果たしてまともなマイレッジとは言い難いのだが。

 
このカウンタックでのロングツーリングの思い出は、ランボルギーニの本拠地であるボロネーゼのサンターガタから、イギリスまでのドライブである。途中、なんと90分もの間、速度計の針が125マイルより下を指すことがないという体験をしたことがある。このV12
エンジン はまったくタフなものだ。

エスパーダは長い距離を走り切るには間違いなく魅力的な車だが、一方でカウンタックは荒れ狂うサイのように野蛮な車であると言える。このカウンタックはイアン・ティレルが営むチェシャー・クラシックカーというショップで2012年9月に購入したものだ。

実際にこの2台を同時に所有してみると違いは歴然だ。まずカウンタックはモータースポーツで培われた足回りが素晴らしい(実際のところ、本当のレースには参戦していないが)。こいつにはラバーブッシュがどこにも見当たらない。ホイールはそれぞれ、ローズジョイントの美しいチューブラー・シャシーに取り付けられており、特にウェットやダート路面に突入したときの安定感は信じられないほどだ。

構造的にもカウンタックはかなり剛健である。エンジンの冷却効率の良さは17ℓもの大量のオイルによるところが大きい。オイルの劣化は起こりにくいし、つまりエンジンのメンテナンスにはそれほど手間が掛からない車なのである。実際カウンタックオーナーの多くがオイル漏れで困っているようだが、それはちゃんと頻繁に走り込んでいないからだ。錆対策についても、ありがたいことにアルミ製ボディおよび、グラスファイバー製のドアインナーおよびフロアのおかげで、大きな問題にはならない。

でも、エスパーダの場合はまったく異なる。そもそもクオリティに問題があるイタリア鉄鋼を使ったボディがとても腐食しやすいのだ。サスペンションに関してはさらに顕著。純正ラバーブッシュの交換や注油(だいたい3000マイル毎)は、永く性能を保つためには
必須であるし、同じことはギアボックスにも言える。ただ、あの妙に手を伸ばしたステアリングポジションは、デーモン・トゥイークスで39ポンドで手に入る延長ボスを装着さえすれば、容易に解決することができる。また純正ラジエターの冷却効率は芳しくないので、特に高温な場所で乗るならば、容量の大きい新しいものに交換すればまったく心配はいらなくなる。

さて、私はこの2台をとても大切にしているが、直にパガーニ・ゾンダがガレージに加わることになった。あれは実に金が掛かってね。まともに走らせるために年間5000ポンドの維持費を用意しなくてはいけない。

カウンタックなら1000ポンドで済むところをだ。しかもさらに大きな違いは保険さ。ゾンダはなんと年間6000ポンド!それに対してカウンタックは270ポンド、エスパーダはたったの80ポンドしか掛からないのだよ。
 
ただ、お金だけの問題ではない。この2台のランボルギーニは、とてもクリティカルな魅力に富んでいる。それこそがカリスマだ。この2台は、これからもずっと私のガレージに留まっていくことになる。今は少なくともそう思っているよ。

編集翻訳:堀江 史朗 Transcreation:Shiro HORIE 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Word: Mark Dixon

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