サハラ砂漠をフェラーリ・テスタロッサで走ってみてわかった3つの注意点

フェラーリがサハラ砂漠を行く



テスタロッサでサハラ砂漠へ
そもそも私がなぜここモロッコにいるのか。そしてなぜテスタロッサに難行を強いようとしているのかを説明しなければならない。今からほぼ20年前、オクタンにも寄稿しているリチャード・ブレマーが、発売されたばかりのフェラーリ512Mでマラネロからサハラ砂漠まで走った記事を『Car Magazine』誌に寄稿した。それは私が今までに読んだ最高のドライブストーリーだった。私も長距離ドライブが好きなうえに、今はテスタロッサを所有している。それならば、自分でもちょっと"普通ではない"旅ができるのではないかと考えたのである。もっとも、タンジェの街に入るまではまことに順調な旅だった。

私たちが出発したのは二日前。昼過ぎにポーツマスを出発し、翌日の午後3時ごろにスペインのサンタンデルに着く夜行便のブリタニー・フェリーでの航海は申し分なかった。その後の道のりも簡単明快、サンタンデルからスペイン南端のタリファまで一気に640マイル(約1030km)を走ってイベリア半島を縦断し、モロッコ行きの高速フェリーを捕まえるという計画だった。

サンタンデルからはA6号線を使って山脈を越える。室内に差し込む陽射しは2月とは思えないほど強かったが、軽快に山道を上るうちに道端の日陰には雪が現れた。この時期のこの地方では珍しいことではないが、今年は特に雪が多かったようで、一週間前だったならこの道を通るのは難しかっただろう。

テスタロッサの居心地は素晴らしかった。スタイリッシュなシートには申し訳程度の調整機構しか備わっていないが、長距離ドライブでも予想以上に快適なことがわかった。数カ月前に50mmのエクステンションをステアリングホイールの背後に取り付け、より自分の方に近づけた改良も大きな効果をもたらしていた。

もうひとつの驚きはテスタロッサの航続距離だ。燃料タンクは118Lと巨大なうえに、高速道路を制限速度ちょっとで流せば、燃費は20mpg(約7km/L)以上に伸びる。つまり満タンで400マイル(約640km)は問題なく走れるということだ。しかもスペインでは燃料の値段が英国よりかなり安く、1リッター当たり90ペンスほど。警察の姿もほとんどない。いつの間にか私たちは猛然とスペインの大地を駆け抜けていた。スピードリミットは自分たちが風切り音に耐えられるかどうか、だけだった。

編集翻訳:高平 高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Harry Metcalfe Photography:Justin Leighton

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