ホコリを被った宝の山|フランス西部で見つかった「幻の自動車博物館」所蔵コレクション

発見された名車の数々



WAITING IN THE WORKSHOP
ワークショップで待ち続けた車
アールキュリアルのピエールは、このイスパノ・スイザH6のトランクを開けて、オリジナルのナンバープレートだけでなくキーも見つけた。これはアメリカからの影響を受けた2シーターモデルで、フランスのカロスリであるミロン・グイエがボディを架装した。ボンネットはオリジナルではなく、フードは朽ちているものの、これら以外はすべてオリジナルだ。驚くべきことに、リアホイールのスピンナーにノックオフツールが付いたまま、作業途中の状態でバイヨンのワークショップだった場所で発見された。




RAN WHEN PARKED
王家の車
このオークションのハイライトとなるのは、1961年フェラーリ250GTSWBカリフォルニア・スパイダーと1956年マセラティA6G2000グランスポーツ(左ページ)だが、これについては後述することにしよう。この広大な敷地の中で見つかった車のなかにファセル・ヴェガ・エクセレンスがある。137台が造られた第1シリーズのうちの1台で、アメリカ市場を意識したリアフェンダー、観音開きのドアとボディパネルの"チリ"が見事であった。 

その隣には、フランスのカロスリであるソーチックが架装したボディを持つタルボ-ラーゴT256があるが、これはかつてエジプトのファルーク王が所有したという。むろんフルレストアが必要なのはいうまでもないが、このタイプの中では最もオリジナルに近く、すべて完璧に揃っている。ペプルビーチ・コンクールの本命だろう。バイヨンのコレクションに早い段階で加わった車の1台だ。エンスージアストで知られるファルーク王がパリでの滞在中に使用していたもので、国王の甥によってバイヨンに売却された。今もなお、エジプトのナンバーがトランクについている。「ファルーク王の家族は買い戻したがっていたけれど、これは祖父のお気に入りの1台なの。売るはずはなかったわよね」とはバイヨン嬢の弁だ。



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編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.)  原文翻訳:渡辺 千香子(CK Transcreations Ltd.) Translation:Chikako WATANABE (CK Transcreations Ltd.)  Words:Glen Waddington Photography:Matthew Howell

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