マイクロカーとリーンマシーン|Jack Yamaguchi’s AUTO SPEAK Vol.4

トヨタi-ROAD



4 スミス・フライヤー
超小型車は、日欧だけのものではない。1914年、アメリカのA.O.スミス社は英ウオール自転車補助エンジンの権利を買い、"スミス・フライヤー"を製造発売した。木製簀の子のようなシャシー上に2個のシートを積んだ、ボディなしの簡素な五輪車であった。後端の第五輪は、空冷単気筒を取り付けた"モーターホイール"である。1919年に汎用エンジンメーカー、ブリッグス・アンド・ストラットン社がスミス社ごとフライヤーを買収した。ギネス記録によると、「もっとも安価な自動車」であった。庶民だけでなく、富裕層が荘園など私有地の簡便な足として愛用した。1925年には、自動車部品メーカーがフライヤーを買い取るが、エンジンストックがなくなった後にEV化した。




5 A.O.スミス
トヨタ自動車社創設者・豊田喜一郎初代社長は、自動車製作に乗り出す前に、まず自転車のエンジンアシストを検討した。名古屋市トヨタ産業技術記念館自動車館入口室で自転車とA.O.スミスのエンジンを検討する喜一郎社社長と技術者の等身大ジオラマを見られる。実物A.O.スミス製エンジンも展示されている。ブリッグ・アンド・ストラットン・フライヤーのモーターホイールと比較されたい。豊田社長が簡便車ではなく、30年代米フルサイズ車級A型の開発に進んだのは賢明であり、日本モータリゼーションにとって幸運であった。




6 BMWイセッタ
1950年代、ヨーロッパ、イギリスに増殖したバブル(泡)カーの1種、BMW"イセッタ"。筆者の貿易商社時代に輸入したが、日本市場向けは研究用と国際見本市展示の数台で、駐留米軍人、家族に40台を販売した。三多摩地方の短距離移動に経済的移動手段として売れた。



Kyoichi Jack Yamaguchi

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