すべてのものが持つ個性あふれたストーリー│マルタ・クラシックカー・コレクションを訪ねる

Photography: James Elliot

すべての自動車博物館にはそれぞれの誇り高いコレクションが保管されている。しかし、その中でもマルタのカウラに位置する"マルタ・クラシックカーコレクション"には個性あふれるコレクションの姿があるのだ。ここで息をしている車たちを見ると、車そのものだけでなく、むしろその車が持っているストーリーこそが大事なのだと感じられる。

このミュージアムを設立したのは、元レーサーであり、レースカービルダーでもあるキャロル・ガリアだ。40年前からコレクションをはじめた。「誰も古い車なんて欲しがらなかったから、そんなことを初めて友達には頭がおかしいのかと思われていたよ。周りのみんなが遊びまわっているときに私は車のレストアをしていたんだ」とキャロルは語る。

コレクションが増えていくにつれて、広い保管場所が必要となった。彼が100部屋を有するホテルを建造していた地下にある3000スクエアメーターの敷地にすべてのコレクションを集めた。14年前、妻と娘が一般にミュージアムを開くよう彼を説得したのであった。

アルファ・ロメオ ジュリア・スプリント・スペチアーレやメルセデス・ベンツ 190SL、ジャガー C-typeレプリカなどがこのミュージアムにあるコレクションの中で最も高額な車だろう。大小あるシアタールームでは、古き良き時代のミッレミリアの映像を流している。カフェもあれば、ジュークボックスやテレビ、ピットボールマシンなども置いてあるのだ。すべてのコレクションは、9000を越える。

現在、展示されているモータリングは、車90台にスクーター20台だ。まだ、整備途中のコレクションもたくさんある。すべての展示車はすぐに走ることのできるコンディションとなっているとのこと。彼が子供の頃、はじめてファミリーカーとしてやってきたオースティン A40も展示されているのだ。1958年に売ってしまいイギリスへと輸出されたが、2004年に見つけ出して購入したのだそうだ。


"Barn and find"のBMW 700

彼の妻がはじめて所有した、ホワイトのフィアット 850 スペシャルの姿もある。もちろん、彼自身がはじめて購入した車である1962年 フィアット 1200 カブリオレも。「怪しい輸入アイテムもたくさん買ってきたよ。このジュークボックスは父がバーを閉めた時に救い出したんだ。そして、これをフィアットを買うときの前払いとして渡して、100ポンドを1週間5ポンドで払っていくはずだったんだ。でも、ジュークボックスを渡しただけで一度も支払いをしたことはなくてね。2年後、彼らに遭遇した時は本当に怖かったよ。殴られでもするかと思ったんだけど、私が支払うべきであったものを帳消しにしてくれたんだよ。彼らが営んでいるバーにこのジュークボックスを置いたら、運を呼ぶジュークボックスとしてお客さんが集まってきたらしいんだ」

ここにあるコレクションは、私たちが今まで見てきたものとは一味違う。訪ねるときにはキャロルに連絡して、案内してもらうことをお勧めする。

Words: James Elliot

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