真のトップはどの1台なのか│歴代ジャガーXJシリーズのステアリングを握る

1968年に、英国サルーンを代表するジャガー XJシリーズがパリ・モーターショーでデビューした。そして、2018年、オクタンはXJ 40を駆りジャガーXJシリーズの50周年祝った500マイルのツアーに参加し、ジャガーランドローバークラシックのファクトリー見学やグッドウッド・サーキット、ル・マンにも立ち寄ったのであった。

ジャガーランドローバークラシックのファクトリーツアーでは、D-typeのレストア過程や初期型レンジローバーの数々をみることができた。私が最初に運転したXJはペールブルーのシリーズ1だ。しかし、正直なところXJ40のインテリアには少しカルチャーショックをうけてしまったのだ。レザーとウッドが使われていて確かに上品ではある。だが、プラスチックのパーツもあって、冷たく見えるグレーのレザーが私にはデロリアンのようにも見えてしまったのだ。販売当時、上質で贅沢な車だと言われてはいたが今となっては異なって見える。時代の変化であるから、仕方のないことだ。とはいっても、ダイナミクスは充分な性能を持っていることは変わりない。3.6リッター 直列6気筒エンジンは静かに力強く走るのだから。



今回のツアーでは、18台のXJと世界中から集まったジャーナリストたちが参加していた。歴代のXJに乗りこんだが、1987年 シリーズ3サルーンは今まで運転してきたどの車よりも優れていると感じた。XJ6 も素晴らしい車だ。15歳の時に、新品のXJ6の助手席に乗りこんだことを思い出した。その走りが滑らかであったことが印象的で、30年経った今でもその感覚を覚えているし、まだXJの走りの良さを感じる。3.2リッター V8エンジンを搭載したXJ8は驚きを抱いた1台であった。シリーズ3のようであるがエンジンはおもしろいビートを発し、XJ40から進化したインテリアには堅実性すら感じる。ゴッドウッド・サーキットでの走行を終えて、次の目的地へとむかうフェリーには、シリーズ1 デイムラ― ダブルシックスで乗りこんだ。V12エンジンは、道を走るというより、サーキットにでも行くのかと思わせる。トルクのレスポンスも極めて良い。ジャガーの創設者ウィリアム・ライオンズの技術が詰め込まれた至極のスポーツサルーンだ。





翌朝はフェリーから降り、フランスの地を巡りながらル・マンへ向かった。そこで乗りこんだのは、X350だ。少々、ボディは大きくなっているがライトウェイトアルミニウムボディは長い間走行しても安心だ。2003年に発表されたこの1台は、昔のジャガーからインスパイアされたデザインである。ル・マンでは、1951年 C-typeから、1990年 XJR12までのル・マンで活躍した7台のジャガーが勢ぞろいするセレモニーもあった。



再度、XJ40に乗りこみパリへと戻った。翌朝には、1968年にXJ6が発表された場であるパリモーターショーへと赴き、新型XJ50のスペシャルエディション発表などを楽しんだ。ジャガーデザインディレクターのイアン・カラムはこう話していた。"1968年にうまれた、魅力的な1台に私はインスパイアされています。ヨーロッパで最も素晴らしい車であり、世界中を見ても一番だと思っています。それほど、私にとっては特別な1台なのです。それを継承しながら現代のジャガーを創り出せることを嬉しく思います"。

ツアーの最後には、参加者による投票がおこなわれた。勝利を獲得したのは、シリーズ1だった。個人的なお気に入りはシリーズ3だが、"私のお気に入りは次の1台だ"ともいえる。その正体はカラムと彼のチームしか知らないわけだが、どちらにせよ、またパリへ赴くまでには長くならないことであろう。



Words:Glen Waddington
Photography: Nick Dimbleb




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