魅惑の1台フェラーリ275GTBを駆って美しいイタリアを巡る特別な日々

Octane Japan 編集部｜ 2018.12.29

Photo Rene

モデナ・セントロ・オレはイタリアの素晴らしい道とサーキットを舞台とするラリー。競技だけでなく、パーティを毎晩楽しむこともできる。そんな日々を、クラシックカー専門ライターのマッシモ・デルボがフェラーリ275 GTB/4と共に走り抜けたインプレッションをお送りする。

3.3リッター 4カム V12エンジンを積んだ1967年フェラーリ 275 GTBで832kmの旅を終えたが、耳の奥ではまだガタガタと音が鳴り響いている。耳の調子が良くなるには時間がかかるだろう。燃え尽きた魂が戻ってくるにはもっと時間がかかるが。
本題のイベントはどうだったか？2017年のオクタン・ヒストリック・モータリング・アワーズでラリー部門を獲得したモデナ・セントロ・オレは、今年もイタリアの美しい風景と歴史のあるレーストラック、忘れがたい毎日のパーティなどが混ざり合い、素晴らしい体験となった。イギリス人のコレクターと、ベテランクラシックカーディーラーであるアンソニー・ポズナーに招待を受け、参加に至った。私の心を動かしたこのフェラーリはアンソニーが所有しているものというわけだ。

モデナ・セントロ・オレは、スピードを出して車の本領を発揮して競うカテゴリーと、ノーマルに落ち着いたレギュラリティートライアルで競うカテゴリーの2タイプから選ぶことができる。私たちは、車によりリスクが少なく、参加者のストレスも少ない後者を選んだ。勝つことが目的ではない。あくまでも参加することに意味があるのだ。

スピード重視のカテゴリーは、レーストラックからスピードを出して一斉にスタートする。山道であっても、狭い道であっても疾走するスタンスは変わらない。私たちのようなレギュラリティー参加者も同じようにサーキットからスタートし山道も通るが、正確なタイムで走ることが目標だ。ヒルクライムでは、設定されたスピードで走行する。

1951年フェラーリ 212 エクスポート

事前に知らされたように、テクニカルチェックを受けにモンツァへ赴き、多くの素晴らしい車がいるチームにかこまれていることに気付いた。私たちがすぐにライバルだと認識したのは、フェラーリ275 GTBが出すサウンドと唯一、張り合うことができた1台であるフランスチームの1965年シェルビー・コブラ 427と、イギリス・フランスペアチームのフェラーリ 365 GTB/4 デイトナだ。

モンツァは真っすぐにのびる道と印象的な土手道、このイベントのためだけに開放された道もあり、心地良いドライブができた。275を馴らせる時間があまりにも短かったが、車への警衛が特にいないミラノの街へ行かされた。幸いにも、275から表された不調のサインは、いつもよりわずかに高いオイル温度のみであった。

アンソニーのこの車は、オリジナルであるグリジオ・アルジェントカラーのボディにブラックのインテリアを保っている。イタリアからすぐに南アフリカへ渡り、2006年にアンソニーが購入しレストアするまで同じ地で過ごしていたのだ。フェラーリクラシケ認定車で、この旅ではほんの少しの燃料しか必要としなかった。

サルソマッジョーレへのドライブ後は、リンデンの花が放つ良い香りにかこまれて過ごした。翌朝は、ダラーラファクトリーがテストにもよく使用していたレーストラックのあるヴァラノへ出発。アペニン山脈は、凛と澄んだ山の空気と素晴らしい景色、広々とした道が揃うモーターレースに完璧な地であったといえよう。レーストラックでひたすらに速さを競っているレースカーを眺めて過ごしたりもした。前日に、シボレー・コブラ・デイトナ・クーペやフォード GT40が飛ぶように走っているところを見ても驚きはしなかったが、この曲がりくねったサーキットをうまく走り抜けていく姿には驚かされたものだ。

最も観ていて楽しかったのは、イギリス人ペアが乗る1972年フォード・エスコート RS1600とドイツ・スイスチームペアが乗る1974年ポルシェ 911 カレラ3.0 RSRの争いだった。しかし、このイベントはドライビングがすべてではない。モデナ・セントロ・オレには大切な社会交流の場もあるのだ。ヴァラノを訪れた後には、フォルテ・デイ・マルミへ向かい、バンバイッサビーチでのサンセットパーティへ参加。1日の長いドライブとレースを終え、まだ熱を持っている車をすぐ近くに停め、シャンパーニュと共にパーティを満喫した。

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Words: Massimo Delbo　訳：オクタン日本版編集部

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