新型プジョー508を英国で緊急テスト。 完成度の高さは、すでにドイツ車のクォリティを超えたか。


走り出して早々に感じられるのは、高い密閉性とボディ剛性だ。どんな走行状態でもリアドアやハッチゲート周りから軋み音が聞こえてくるようなことは皆無で、すべてにおいて落ち着いている。そして動的質感の点で何より感心させられたのは、カメラで約20m先の路面を読み込んで4輪の減衰力を積極制御する高度なアクティブ・サスペンションを採用しているにも関わらず、Dセグメントのサルーンとしてはきわめて軽量な1420kgに収まっている事実だ。それによりクルマの方から積極的にドライバーの手の内に収まってくれるような、適切なサイズ感というか「運転のしやすさ」が感じられるのだ。


手元のセンターコンソール上でドライブモードを選択して、コンフォートやスポーツなど、シャシー・セッティングを変える。ワインディングでスポーツ・モードにすると、ステアリング中立付近のシャープさが明らかに増し、初期のロール量が抑えらる。プジョーの代名詞ともなったi-Cockpitの視認性の高さや操作類のエルゴノミーの易しさも特筆すべきものだ。ヘッドアップインストルメントパネルのデジタルグラフィックはいたずらな細工がなく見やすいし、8インチのタッチスクリーンやトグル形状のスイッチの使い勝手も悪くない。また、小径ステアリングホイールはスポーティなだけでなく、操作量が少なくて済むので、結果的にドライビングを楽しめると同時に容易にもしてくれる。



ハンドリングについては、攻め込むほどにノーズの動きと反応の軽さが心地よい。だがスパっと切れ込んでいくというより、しなり感を伴うじんわりとした旋回フィールであり、正確なトレース性と路面のうねりをいなすような優しさが持続する。鋭くもなれるが、ドライバーを駆り立てるというより、そのマインドに沿ってくれる、そういう奥行あるロードホールディングなのだ。



英国は狭く入り組んだ市街地や、大型車やコンパクトな車が混走する高速など、いろいろなポイントで日本の道に似ている。先代プジョー508より若干ダウンサイジングが図られたとはいえ、全長4750mmの中に広々としたパッケージングが実現されている。8ウェイの調整機能が付くフロントシートはもちろん、後席もルーフに窪みを作りヘッドクリアランスを大きく取ってあるので、ハッチバックとは思えないほどヘッドクリアランスに余裕がある。また全幅1847㎜はサルーンとして大き過ぎない、ほど良いサイズといえる。縦列駐車時のバックカメラビューや、高速の追い越しなどで、サイドミラーの死角を警告する機能やコーナーリング時の見切りなど、右ハンドル仕様の出来に不足はなく、どんな条件でもドライバーの思うがままに運転することが可能であった。試乗したこのGTはシリーズ最強版とはいえ、決してスペックでハイパワーを主張するタイプではない。だが、1420kgという軽い車重と最新のアイシンAW製8段ATとのマッチングがよく、低速域からとにかく軽快。市街地を出て高速巡航に入っても、再加速時の回転フィールの上質さ、シフトマナーの滑らかさなど、パワートレイン全体の仕事ぶりに余裕があり、その静かさと控えめさに驚かされるほどだった。

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