1000馬力のエンジンを作り上げるには │ 公道も走行可能なパワーの全貌に迫る

特に注目すべきコンポーネントは、ビレット(金属の塊)から削り出したクランクシャフト。直径170mm、長さ775mmのスチール製の棒から加工したこのクランクシャフトは、最初に荒削りが実施された後、熱処理、機械加工、さらに熱処理がおこなわれ、ギヤの削り出し、最終の削り出し加工、さらに仕上げ処理が施される。1本のシャフトが完成するまでに、約6ヶ月もの歳月をかけてオリジナルの金属棒の80%が削り取られる。このようにして完成したシャフトは、開発当時、量産車に搭載される自然吸気エンジンとしては、世界でもっともパワフルな性能を誇っていた"アストンマーティンOne-77"V12エンジンに使用されているシャフトより、50%も軽量となる。




 
コスワースのマネージング・ディレクターを務めるブルース・ウッドは、次のようにコメント
「史上最高のハイパーカーに搭載するこの自然吸気V12エンジンは、コスワースの誇りとプライドをかけて開発したものです。長年にわたってF1TMの世界に携わってきた中で、エイドリアン・ニューウェイの卓越した戦歴が物語っているように、自らに厳しい目標を課すことを学んできました。しかし、この新しいV12エンジンのパワー、重量、排ガス規制、耐久性に関する非常に高く、ときには矛盾したスペックについて検討を始めたとき、このプロジェクトがこれまでになく困難なチャレンジになることが分かりました。アストンマーティン、レッドブル、そしてコスワースは、素晴らしいパートナーシップを発揮しました。各パートナーは、ロードカーに搭載可能な、これまで見たこともないような内燃エンジンを開発するという、明確なビジョンを持ってこの仕事に取り組みました。」

アストンマーティン・ラゴンダ社長兼グループ最高経営責任者(CEO)のDr. アンディ・パーマーは、ヴァルキリーのV12エンジンについて次のように述べている。
「たとえ一滴でも血管にガソリンが流れている者であれば、高回転型の自然吸気V12こそが、絶対的な頂点に君臨するエンジンだと考えるでしょう。素晴らしいサウンドを楽しみ、エモーショナルでエキサイティングな感動を味わうことができるのは、内燃エンジンをおいて他にありません。大きな困難に直面したものの、アストンマーティンValkyrieに搭載するエンジンはこれしかないという気持ちに、疑問の余地はありませんでした。コスワースのチームは、プログラムの当初から、新たなベンチマークを達成するという強い決意を貫き、可能性の限界を押し広げました。その結果、この驚異的なエンジンが完成しました。これを超えるエンジンが登場することは決してないでしょう。」

アストンマーティンが培ってきた技術のすべてが凝縮された最高傑作の作品であることに違いない。


http://www.astonmartin.com/



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